アダム・グラントのORIGINALSのまとめです。
アイディアを生み出し、オリジナリティを発揮する方法について、色々な角度から書かれています。
自己啓発本やスピリチュアルなものとは異なり、科学的な根拠をもって、理路整然と説かれるからこそ、これを採用してみようとか、意識してみようと思えます。
実践的な内容も多分に含まれているので、ぜひ読まれることをおすすめします。
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オリジナリティとは?
「オリジナリティ」とはある特定の分野において、その分野において、その分野の改善に役立つアイディアを導入し、発展させることと定義します。
さらに「オリジナルな人」とは、みずからのビジョンを率先して実現させていく人としています。
発想するだけでなく、行動も伴うことで、オリジナルな人となれます。
このオリジナルな人には、特別な人しかなれないのでは?と思いがちですが、本書ではそれが間違いであると説いています。
誰もがオリジナルになれる
オリジナリティには徹底的にリスクを冒す事が必要だと考えられています。
しかし、実際はオリジナルな人はずっと普通の人たちです。
イメージとは違って、どちらかというとリスクをなるべく抑えようとするそうです。
リスクを嫌い、アイディアの実現可能性に疑問をもっている人が起こした会社の方が、存続する可能性が高いデータも示されています。
誰もがオリジナルな人になれる可能性をもっており、そのために必要な考え方などが紹介されています。
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オリジナリティを発揮する
身近な例として、ブラウザの例があげられています。
Windowsならインターネットエクスプローラーが、MACならサファリがデフォルトのブラウザです。
このブラウザの選択によって、会社への定着率、勤続年数に相関があります。
ブラウザをデフォルトでなく、自分でダウンロードする人は、定着率が高い傾向にあります。
なぜならば、現状を良しとせず小さな改善ができる人だから、つまり自ら行動を起こし、よりよい選択を探すからです。
職場環境の壁にぶつかった場合に、自ら環境を改善する、オリジナリティを発揮すれば必然的に定着していきます。
一方で、デフォルトで良しとする人は、改善しないとなると逃げるしかなくなります。
あまり気持ちのいい例ではありませんが、低所得者の方が高所得者より現状を支持するというものがあげられます。
既存のシステムを正当化すると、心が落ち着くという心理があるのですが、オリジナリティとは逆ですね。
オリジナリティの欠如が、所得の格差にも影響することが示されています。
一つの造語が紹介されています。
「ブ・ジャ・デ」というものです。
デジャブと異なり、既知のものを目の前にしながら、新たな視点でそれを見つめ、古い問題から新たな洞察を得ることと定義しています。
振り返れば当たり前のことといえるような発見かもしれませんね。
Zero to Oneの内容とも通ずるところがあります。
リスクポートフォリオ
誰もがオリジナルな人になれる大切なポイントの一つにリスクへの態度があります。
なんでもかんでも高リスクを好むのでないことは上述のとおりですが、オリジナリティを発揮する場面ではリスクを伴います。
そのときに、バランスの取れたリスクポートフォリオの重要です。
ある分野で危険な行動を取ろうとするなら、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを弱めようとするのです。
これは投資でも重要な考えですよね。
逆にいうと投資もオリジナリティが必要です。
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オリジナリティの障害とは?
オリジナリティを阻む最大の障害はアイデアの「創出」ではなく、「選定」にあると説きます。
適切なものをうまく選び出せないことがなにより問題だということです。
実生活でも思い当たるところが、ありますよね?
色々な企画や案が出ても、それを選ぶ段階で、つまらないもになっていく過程をよく目にすると思います。
なぜ、そういったことが起きるのか、いくつかの要因が示されています。
知識が邪魔をしてしまう場合があります。
専門知識と経験で世界の見方が一定の状態に固定されるからです。
そして、新しいアイデアを実行して得られる利益でなく、悪いアイデアに投資して失敗するほうに目を向けてしまうからです。
こういったケースでは、市場へのアンケート調査などのデータで回避できるかもしれませんね。
また、過去に別分野にもかかわらず成功体験がある場合に、自分の判断に自信過剰になる問題があります。
ではどうすべきか?
同じ分野の仲間の意見を求めることで対策します。
ようするに直感が頼りになるのは、予測可能な環境で判断を下す経験を積んだときだけであるということです。
自分のアイディアに対する評価は自信過剰になりがちという問題もあります。
これを冷静に判断するためには、見せかけの熱意に騙されてず、これまでに成功してきたかどうかでなく、どのように成功してきたかをたどってみる必要があります。
人は簡単に思いつくものほど一般的で重要なものとして認識するので、このバイアスにも注意が必要です。
ファーストペンギンでなくてよい
オリジナルであることは、1番手になることではありません。
オリジナルであることは、ほかとは異なる、ほかよりも優れているという意味です。
1番になることにこだわると、衝動的な決断をしがちで、そもそもの目的からずれてしまいます。
我先にいかねばという感覚は、独創性を発揮することが、若さとイメージで結びついてることも影響しているようです。
イノベーションには2つあって、概念的イノベーションと実験的イノベーションがあります。
先程の若さとのイメージは概念的イノベーションの方です。
概念的イノベーションは独創的で経験の浅い段階で生まれます。
実験的イノベーションは試行錯誤を繰り返し、知識の蓄積のうえに生まれものです。
ようするにここでも、遅い早いは関係ありません。
しっかりと把握して、タイミングをみるのが賢明といえるでしょう。
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オリジナリティを失わない組織とは?
仲間を作るときに最高の味方になるのは、初めは反対していたが、しだいに味方になってくれた人です。
逆にまっさきに切り捨てるべきは、時には応援するが時には邪魔をする人です。
両価的な人はいつ信用していいか分からず疑心暗鬼になるためです。
同じ価値観をもつグループと協力する時は手段が共通していることが重要だと説きます。
なぜなら、似た者同士の価値観の違いがもっとも激しい衝突に繋がるからです。
これは歴史的にもそうですよね。
集団思考の問題についても指摘しています。
集団思考の罠に陥った阻止は、市場が動的になると孤立してしまいます。
確証バイアスも関連していて、好む情報のみを取り入れ、相反する情報をみようとしないため、より孤立し朽ち果てます。
だめなCEOが自分と同調する意見にしか耳を傾けなくなるのが、典型例です。
オリジナリティをもった強い文化を作り上げるには多様性が必要です。
オリジナルな人は好奇心が強く、まわりに同調せず、反抗的ですが、悪魔の代弁者として非常に重要な役割を果たします。
オリジナリティを発揮するためのメンタリティ
行動をおこすためには、「戦略的楽観主義」「防衛的悲観主義」のいずれもが必要です。
GoシステムとStopシステムとも関連して説明されています。
ある行動を起こそうという十分な意思がない時は、ネガティブは危険でGoシステムの発動が必要です。
例えば、大勢前にして緊張している場面なんかでは、緊張を興奮へとリフレーミングすることで、行動につなげます。
一方で、いったん行動を起こす心づもりができたら、防衛的悲観主義で不安に向き合うことが必要です。
不安をむやみに取り去ろうとするよりも、コントロール感を得られるからです。
ここでもそうですが、リスクに対する態度としは、リスク回避思考は普通だということです。
その向き合い方、視点によって変わることを理解する必要があります。
ようするに、利益視点だとリスクを回避したいと考え、行動しなければ確実に損失がある場合は、リスクを冒すことに魅力を感じます。
これは、相手に行動を促す場合も同様です。
「変えることの利点を強調する」か「変えないことの代償を強調する」かは、状況によって変わります。
つまり、新しい行動を、相手が安全なものと認識するか、リスクが伴うものと認識するかによって変わります。
例えば、ビジョンを最初に伝えても意味がないというものがあります。
現状の何に問題があるかを示し、現状に対する不満や不安、怒りなど、確実な損失を示し、それからビジョンを示すことが必要です。
オリジナルな人は、人生を向上させ、より多くの自由を得るために行動します。
一方で、一時的に快楽を捨て、みずからの幸福を後回しにしているかもしれないと締めています。
いずれにせよ、オリジナルな人が世界をもっと素晴らしくし、そのオリジナルな人には誰もがなれるということです。
そこから得られる満足感は、全く別次元のものでしょう。
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