今回の投資のおすすめ本は、「生涯投資家」( 村上世彰 著) です。

かの有名投資家、村上ファンドの村上世彰さんが執筆された生涯投資家という本が2017年に出版されています。
読んでみようと思いつつ、手に取る機会がなくて、今まで先延ばしになっていましたが、ちょうどAmazonプライムで無料で読める機会に読んでみました。

話がそれますが、Amazonプライム会員だと、読み放題サービスの会員になっていなくても、毎月無料で読める枠があります。
実は最近までその存在に気づいていませんでした。
会員の方は、せっかくなので読もうか迷っていた本を手に取る機会に利用するのもいいですよ。

元の話に戻ると、過去にいろいろありましたが、村上さんはそもそも力のある投資家なので、参考になるポイントがいっぱいありますよ。
我々のような一般の投資家も、自分なりの投資手法を考えるのに参考になると思います。

資金量、投資の目的など個人個人で異なるわけですから、具体的な方法論は当然に違ってきます。

大きな方針としての銘柄選定の場面なんかでは、この本の内容が大いに役に立つのではないでしょうか。

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銘柄を選ぶ上での問題意識

資本効率という言葉が繰り返し登場します。
投資家という目線で会社を見るなら意識すべきことで、その投資家にチェックされている経営者も当然に考えなければならないことです。

残念ながらここを意識できていない経営者が多く、コーポレートガバナンスが効いていない点に、問題意識を当時から持たれていたようです。

その資本というのは投資家から預かっているものなわけですから、そらそうですよねと。

本来であれば、今後の事業に自信があり、資金調達において銀行借り入れ余力が十分にあり、株価が割安であればMBOした方が良いし、非公開化しなくても、少なくとも、自己株式取得等で株価を上げるか、内部留保を株主に返還することになるはずです。

でもそうなっていな会社があったら?
それが歪みで、収益を上げるチャンスにも繋がります。

歪のある企業を徹底的に調査していくようです。

短期トレードでも、歪を見つけるのは大事で(その時々の受給だとか市場のスキマのイメージです)、その積み重ねが勝ちパターンを増やしてくことに繋がります。

投資先スクリーニング

健全な経営が行われているか、株主価値を最大化する施策を実行しているかを見極めて、コーポレートガバナンスが効いていない会社に目をつけます。

バリュー投資なのでこうですが、逆にすれば、いい会社を見つけることになりますよね。

そうして集まった投資先候補が以下の条件で旨味のある銘柄に絞り込むようです。

対象のスクリーニングとして、以下を調べます。
・時価総額に占める現預金(不動産、有価証券など換金可能な資産を含む)の割合
・PBR
・株主構成

村上ファンドっぽいですね。
企業の根源的価値っていうやつですね。

資産を抱えていて、株主価値の最大化を経営者が目指していないがゆえに割安で放置されている銘柄ですから、バリュー投資家の格好の的になるわけです。

現預金の量を見るだけでなく、ようするに売上、利益のみならず、BSを意識せよとのことです。
売掛買掛のバランス、有利子負債の額や負債比率、利益剰余金、などでこれまでの軌跡と今後の資本政策の仮説を立てます。

そして、期待値、IRR、リスクの査定、の3点を加味して最終的な判断を行うそうです。
個人的にはこの観点がすごく参考になりました。

期待値

割安に評価されていて、リスク度合いに比して高い利益が見込めるもの、期待値が高いものに投資する。
期待値の計算方法は、例えば100円が200円になる可能性が80%で0になる可能性が20%なら、期待値は1.6になります。

村上さんの場合は、トータルリターンが1.0を大きく超えるかが投資基準としているようです。

この中でも一番参考になる考え方は、期待値と勝率は別で考えることです。

これは、自分自身でも経験的にもそうだなと思って、納得です。

なので、勝率ではなく、期待値を上げる投資戦略、ポートフォリオを考えていきます。

さらにファンドですから、経営者の資質や世の中、業界の状況などから現状の期待値から上げる戦略を外的要因や将来予測から見極め、場合によっては投資先に働きかけることになります。

個人の場合同じようにはできませんが、成長を期待する銘柄を選ぶのに役立ちますし、転職などで就職先を選ぶのにも役立つ視点だと思います。

IRR

IRR(内部収益率)は、企業が投資資金によって新たな資金を生み出し、加速度的に事業を成長させられるかを見極めるために使います。
このIRR、村上ファンドでは最低でも15%以上だそうです。

ただ、短期のトレードの場合は、正直あまり意識することはありません。
(超短期ならほぼ無意味)
その性質上、短期のほうが高くなりがちですからね。

ある程度保有しておくつもりなら、投資期間中に受け取る配当などのリターンも考慮して、IRRを検討しておくのは必要だと思います。
その時点のIRRと、将来的な伸びをイメージできる体制があるかが大切です。

商習慣や国ごとの政治リスクも踏まえる。

リスク

ここは特に村上ファンドっぽいというか、リスクの分析には定量的な分析でなく定性的な分析をポイントとするそうです。

とはいえ、十分に定量的なリスクとリターンの分析はやってますけどね。

彼らの場合、経営者に提言をするので、経営者やビジネスパートナーの性格や特徴として、議論ができ、どういった点で衝突するか、問題をどう乗り越えていけそうか、最終的な局面で冷静な話し合いができるかなどをリスクとして見積もるようです。

これに関しては、個人投資家が直接的に参考にして実行するのは難しいですが、企業の成長性を判断する際に、厳しい場面で乗り越えてくれそうな経営陣かどうかは判断材料としてといれていいのではないでしょうか。

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最後に

投資をする際は、なにより投資の目的が重要ですが、その目的に応じた投資の作戦を考えるときは、この本のように一定の基準を持っておくとブレずに実行できます。

こういった投資における銘柄選びの考え方は、就職や転職で会社を選ぶ際にも役立つのではないでしょうか。
段階的に、自分の課題感や価値観にもとづく基準で絞り込むステップなんて、すごく使えそうじゃないですか?

就職や転職もまさしく投資だと思います。
自分の時間や能力を費やべき会社を選ぶわけですからね。
伸びる要素をもった市場か、企業かだとか、伸ばせる経営者がいるかを見極めるのは非常に重要です。